スタートアップ資金調達リサーチ【Week : 12/16-12/20】

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12月も中旬に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。

この記事では、12月16日から12月20日の間にリリースされた資金調達ニュースをまとめています。

さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。

About

工場での植物栽培を推進するOishii Farm、30億円の資金調達を実施

事業内容: 工場における食用植物の栽培、および販売

調達金額: 30億円

引受先: インスパイア、大和ハウスベンチャーズ、みやこキャピタル、Resilience Reserve

今後の展望: 植物工場の研究開発、販売地域の拡大

Oishii Farmは、本社を米ニュージャージー州に置く、植物工場のスタートアップです。植物工場とは、屋内で光、温度、湿度などを人工的に制御し、天候に左右されずに野菜や果物を計画的に生産するシステム。工場を利用した植物の栽培には、天候や風土、労働環境に左右されることなく、安定的でサステナブルな生産が可能になるというメリットがあります。

Oishii Farmはすでに工場での植物生産に成功しており、植物工場内でのハチによる自然受粉を用いて、イチゴを自動栽培しています。イチゴは安定した生産が難しい植物であり、安定的な量産に成功したのは世界初です。2024年には、自動化を最大限追求した世界最大級のイチゴの植物工場、「メガファーム」をアメリカで本格始動させ、本格的な生産体制を構築しています。「メガファーム」はサステナブルかつ生産性が高い施設を目指して設計されており、グリーンエネルギーで稼働し、AIとロボットによる自動化が図られています。

次世代デジタル人材育成を手がけるライフイズテック、20億円の資金調達を実施

事業内容: 自治体・学校・法人向け研修事業、オンラインプログラミング・情報教育サービスの開発・運営

調達金額: 20億円

引受先: JICベンチャー・グロース・ファンド

今後の展望: 既存事業の拡大、新規事業の開発、人材採用と育成

ライフイズテックは、デジタル人材の教育、育成を専門としている、「IT×教育」のスタートアップです。中・高・大学生から社会人まで、一気通貫した教育プログラムが特徴で、若年層の教育を基盤に、大学生や社会人、企業研修、さらには地域社会のDX推進に至るまで、幅広い層を対象に事業を展開しています。

各自治体や公的組織、機関との連携実績が豊富であることが、ライフイズテックの特徴です。例えば、学校向けクラウド教材「Life is Tech ! Lesson」は、全国4,400の学校・600の自治体で導入され、利用者は年間135万人に達しています。また、自治体と連携したDX推進事業にも実績があり、今年2024年には山梨県と協力して、地域内でDX人材の安定的な育成・供給サイクルを確立する取り組みである「山梨県DX人材育成エコシステム創出事業」をスタートさせています。

ポケトーク、25億円の資金調達を実施

事業内容: 翻訳機及び翻訳に関するソフトウエアの企画開発、製造、利用許諾、販売

調達金額: 25億円

引受先: カド・インベストメント

今後の展望: グローバル展開、製品開発の強化

ポケトークは、モバイル翻訳デバイスの「ポケトーク」および翻訳ソフトウェアや、ウェブブラウザ用ライブ翻訳サービスを提供する、翻訳を専門とするスタートアップです。「ポケトーク」シリーズは、2017年に発売を開始したAI翻訳機であり、スマートフォンより小型で、翻訳に特化したデバイスです。

ポケトークは、今年10月に新たなモデルである、「ポケトーク S2」の発売を開始しました。このモデルは74の言語を音声・テキストに翻訳できるほか、世界170以上の国と地域で、Wi-Fi のない所でもそのまま使えるモバイル通信機能を内蔵しています。ポケトークはこれまでアメリカ市場での販売を主軸としてきましたが、今後はアジアやヨーロッパへの販路を拡大し、よりグローバルな事業展開を行うことを目指しています。

工場経営のDXを支援する匠技研工業、5億円の資金調達を実施

事業内容: クラウドシステムサービス「匠フォース」の開発、提供

調達金額: 5億円

引受先: ファーストライト・キャピタル、Angel Bridge、アニマルスピリッツ、ジェネシア・ベンチャーズ、静岡キャピタル

今後の展望: 「匠フォースAI」の開発に着手、採用を強化

匠技研工業は、製造サプライヤー企業向けの工場経営DXシステムである「匠フォース」を提供する、テックスタートアップです。特に必ずしもITやシステムに精通していない中小サプライヤー企業が対象で、SaaSに精通していない事業者でも、簡単に、包括的なDXを実行できることを強みとしています。

「匠フォース」は、図面管理から原価計算までオールインワンで実行可能なクラウドシステム。過去の案件やノウハウをAIによって自動処理し、見積計算や帳簿出力を自動的に行うことで、生産性の向上を図ることができます。各社固有の業務プロセスに合わせたオーダーメイドのシステム構築や、専任スタッフのフルサポート体制により、案件にあわせた柔軟な対応が可能です。匠技研工業はAIのさらなる利活用を目指しており、「巧フォースAI」の開発に着手しています。

学ぶ人のための、新しい金融機関を目指すEduCare、1.2億円の資金調達を実施

事業内容: 教育ファイナンス事業

調達金額: 1.2億円

引受先: UT創業者の会、グロービスG-STARTUPファンド、Iceblue Fund、

今後の展望: 教育データベースの開発、社会人リスキリングローンの事業開発費用、両事業の拡大に向けた営業・マーケティング等の強化

EduCareは、金融と教育を組み合わせた、学ぶ人のためのローンを提供するFintechスタートアップです。教育ローンや奨学金関連に特化しており、経済状況による学ぶ機会の喪失という社会課題の解決を目指しています。また、学校卒業以降の学びの機会が増えることを見越し、社会人のリスキリングにも教育ファイナンスを提供しています。

EduCareは、「教育ROI」というシステムを開発しており、これを活用した学生向けの事業展開を図っています。「教育ROI」とは、学びにより将来発生する価値を定量的に可視化できる指標のことで、今年10月から指標の算出およびデータベースの開発を開始。「教育ROI」を活用し学びの価値を明確にすることで、学生にとっては経済的観点から進学・就職の正確な判断、金融機関にとっては未来志向のファイナンスサービスを、それぞれ提供することを目指しています。

まとめ

12月16日から12月20日の資金調達例をまとめました。

AIの利活用は多方面に及んでいますが、その中でも生産性向上への利用は頻繁にみられ、匠技研工業の例はその一部と言えます。植物工場といった次世代の分野にもAIの活用が進んでおり、Oishii Farmはその一例と言えます。

教育とほかの分野を組み合わせたサービスも資金調達に成功しており、ライフイズテックはITと、EduCareは金融との組み合わせにより、新たなサービスを開拓しています。

「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。

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