11月も終盤に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。
この記事では、11月18日から11月22日の間にリリースされたスタートアップの資金調達ニュースをまとめています。さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。
AI技術を活用し金融プラットフォームを創出するUPSIDER、154億円の資金調達を実施
事業内容: 法人カード「UPSIDER」や請求書カード払いサービス「支払い.com」の提供
調達金額: 154億円
引受先: テンセント、日本航空、SuMi TRUSTイノベーションファンド、北陸地域ベンチャー投資事業、グローバル・ブレイン、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、AGキャピタル、ANRI、DNX Ventures、SMBCベンチャーキャピタル、WiL
今後の展望: AI技術を活用した新規事業、金融分野での新たなサービスの開発、各事業の子会社化
UPSIDERは、「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というミッションを掲げるフィンテック企業です。現在同社が提供している、法人向けのカード「UPSIDER」や請求書カード払いサービス「支払い.com」といったサービスが急成長を遂げており、大きな注目を集めています。2022年3月から約2年半の間で、「UPSIDER」「支払い.com」の合計導入企業数は約1,200社から60,000社、「UPSIDER」決済額は約190億円から4,500億円、「支払い.com」の累計決済額は700億円超えを記録しています。
カード事業「UPSIDER」は、法人のためのクレジットカードで、法人が導入するうえで便利な機能を多数持っています。セキュリティ面では、260以上のサービスより利用先を制限したり、日次・月次・取引ごとの上限金額、通貨、利用期間を設定する機能があります。また利便性にも優れ、iOS/Androidアプリ、Slack、Web管理画面から証憑アップロードが可能なほか、決済データは会計ソフトにリアルタイムに反映されます。「支払い.com」は、あらゆる銀行振込をクレジットカードで決済できるサービスで、カードの期限に合わせて事実上の支払いの延長が可能。UPSIDERはこれらを主軸とし、多角的な金融サービスを提供しています。
ショッピングアシストアプリ『PLUG』運営のSTRACT、10.3億円の資金調達を実施
事業内容: ショッピングアシストアプリ『PLUG(プラグ)』の開発、運営
調達金額: 10.3億円
引受先: Headline Asia、Coral Capital、デライト・ベンチャーズ
今後の展望: サービス成長に向けた研究開発、計算機資源への投資、組織体制強化のための採用、利用者拡大を目指すマーケティング
STRACTは、スマートフォン用のショッピングアシストアプリ、「PLUG(プラグ)」を開発、提供しているスタートアップです。「PLUG」はiOS向けに提供されており、2022年3月のリリースから、アプリダウンロード数は130万人を突破するなど、人気を博しています。
「PLUG」は、提携する1,100以上のECサイトで利用できるキャッシュバックやクーポン、ベストプライスを自動で発見・通知するアプリです。複数のECサイトを比較して、キャッシュバック・クーポンを自動で発見したり、入れておくだけで自動で最安値を検索するので、便利にお得に買い物ができます。ユーザーの購買や行動データに基づくパーソナライズ機能もあり、ユーザーの満足度を高めるとともに、EC事業者も最適な顧客に訴求することができます。
レーザー版有機ELを開発するKOALA Tech、5.7億円の資金調達を実施
事業内容: 有機半導体レーザーの実用化に向けた研究
調達金額: 5.7億円
引受先: 九州広域復興支援ファンド、FFGベンチャービジネスパートナーズ、Propagator Ventures AS、京都大学イノベーションキャピタル、ゆうちょ Spiral Regional Innovation Fund、九州電力、ゼンリンフューチャーパートナーズ、グローブアドバイザーズベンチャーズLLP、エイチ・アイ・エスなど
今後の展望: レーザー版有機ELの実用化
KOALA Techは、九州大学発のディープテックスタートアップで、光学システムを専門としています。KOALA Techのコア技術は、「有機半導体レーザーダイオード(OSLD)」と呼ばれるレーザー技術。従来の有機EL(OLED)の進化系ともいえる技術で、より直線性が高い光を、より小型な装置を使って放つことができます。2024年5月には米国カリフォルニア州で開催されたSID Display Week 2024において優秀論文賞を受賞するなど、その技術は世界的に評価されています。
OSLDは発光構造が有機ELよりも簡素なうえ、高い輝度を保ったまま消費電力を抑えられるため、スマートグラスなどのXRデバイスにおいて特に有効だとされています。KOALA Techは、ハンズフリーで利用できるウェアラブルデバイスの普及において、同社の技術が重要な役割を果たすとして、実用化に取り組んでいます。
次世代ドローンで社会課題解決を推進するエアロネクスト、6.2億円の資金調達を実施
事業内容: 産業用ドローン関連技術のライセンス事業、産業用ドローンの共同開発事業
調達金額: 6.2億円
引受先: インパクト・キャピタル、Canon Marketing Japan MIRAI Fund、マーキュリア・サプライチェーン投資事業、三重トヨタ自動車
今後の展望: ドローン関連技術の研究開発費、ドローン運航体制および関連システムの開発費、人材採用
エアロネクストは、ドローン関連に関する専門的な技術を保有しているスタートアップで、この技術を活かしたライセンス事業や、共同開発事業を行っています。同社のコアテクノロジーは、機体構造設計技術の「4D GRAVITY」。これはハードウェア面での姿勢制御へのアプローチであり、ドローン機体の中から飛行部と搭載部を物理的に分離し、それぞれを独立変位させることによって、基本性能が高く安定性の高いドローンを構築できます。
エアロネクストはそのほかにも、ドローンによる物流の社会実装事業を提供しています。中心サービスである「SkyHub」は、セイノーホールディングスと共同開発したスマート物流サービスで、陸上輸送とドローンを用いた空輸の最適な組み合わせを提供する包括的な仕組みです。「Skyhub」はすでに国内の複数地域で社会実装されており、今後さらにドローンによる物流を実装していく予定です。
「osina」を運営するリテールテックカンパニーNEL、7.5億円の資金調達を実施
事業内容: osinaの運営、SNS専門総合広告代理事業、キャスティング事業、ソフトウェア事業
調達金額: 7.5億円
引受先: 三井住友海上キャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、オリックス・キャピタル、ベクトル
今後の展望: osina事業とマーケティングソリューション事業の加速
NELは、小売業界を対象としたリテールテック企業であり、デジタル技術を活用して、オンライン(ECやアプリ)とオフライン(店舗体験)を融合させるソリューションを提供しています。主な事業として、オンラインプラットフォームである「osina」や、小売店舗の売上向上を目的としたマーケティングソリューションを軸として展開。2023年から2024年にかけて、売上205%増を達成するなど、成長を続けています。
オンラインプラットフォームの「osina」は、一般消費者(ファン)が、自身の愛用品や気になる商品をSNSに動画で投稿することで、報酬を得る仕組みのプラットフォームです。一般消費者は収益を得られ、ブランドは認知度の向上と購買促進を図ることができます。マーケティングソリューションにおいては、一過性のブームで終らない一気通貫したプロモーション支援を行っており、実際に店頭売り上げにつなげるプロモーションを提供しています。
まとめ
11月18日から11月22日の資金調達例をまとめました。
利便性の高いプラットフォームには引き続き資金が集まっており、特にフィンテックの領域で実績を挙げているUPSIDERは、巨額の資金調達に成功しています。
STRACTやNELといった事例は、一般購買者の購買行動に対して、ITによるアプローチを行っています。KOALA Techやエアロネクストは、高い技術力をバックに、新たな産業に挑戦をしています。
「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。
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