9月も終盤に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。
この記事では、9月23日から9月27日の間にリリースされた資金調達ニュースをまとめています。さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。
飲食のインフラを構築するダイニー、74.6億円の資金調達を実施
事業内容: 飲食用アプリケーションやPOS周辺機器の提供
調達金額: 74.6億円
引受先: Bessemer Venture Partners、Hillhouse Investment Management、Flight Deck Capital、Eclectic Management
今後の展望: プロダクト開発と新規事業立ち上げ準備、採用活動
ダイニーは、飲食に関するITサービスを提供しています。特に、販売情報の取得・管理ができるPOSレジ(Point of Sales Register)や、モバイルオーダーアプリケーションを主力としています。どちらも、単なるレジやモバイルアプリとしての機能以外にも、データの収集・管理機能があることが特徴で、顧客情報の収集と分析ができます。
ダイニーは現在新たな展開として、Fintech(従来の金融サービスと技術を組み合わせた領域)に進出する方針で、顧客情報を決済に活用していくことを目指しています。2024年中にHR事業を展開する予定であり、これまで以上に多角的に飲食店を支援する方針です。「すべての人の飲食インフラ」となることを目指し、サービス開発を進めています。
AI開発に必要な全工程を支援するFastLabel、14.5億円の資金調達を実施
事業内容: AI開発を包括的に支援する「AIPaaS」の提供(AIデータプラットフォーム、アノテーションサービス)
調達金額: 14.5億円
引受先: 丸紅、Sony Innovation Fund 3 L.P.
今後の展望: 事業会社及びその関連会社との連携の強化、営業活動の強化、人材の確保
FastLabelは、AI開発にノウハウを持つテック系のスタートアップで、AI開発プロセスを包括的に支援するサービスやシステムを提供しています。要件定義から開発までを一気通貫してサポートするモデル開発サービスをはじめ、日本語に特化した、高品質なLLM専用のデータセットを作成するサービスなどが専門です。
ほか、AIデータプラットフォームの「FastLabel」を運営しており、非エンジニアでもAI開発が可能になるツールを提供しています。今回の引受先との協業に意欲的で、AIに関するノウハウも有するソニーGと協力してプラットフォーム開発を進めていくほか、丸紅が総合商社として有する顧客網を利用して、営業活動を強化していく方針です。
ギフト専門EC事業TANPを展開するタンプ、10億円の資金調達を実施
事業内容: EC事業・メディア事業
調達金額: 10億円
引受先: ニッセイ・キャピタル12号投資事業、CYG Fund投資事業、JFR MIRAI CREATORS 投資事業、CRGインベストメント株式会社、あおぞらHYBRID2号投資事業、ANRI3号投資事業、あおぞらHYBRID2号投資事業、日本政策金融公庫、静岡銀行
今後の展望: 新規事業の開始
タンプは、ギフトプラットフォームの創出を目指すスタートアップで、ギフトに特化したECサイト「TANP」を主なサービスとして提供しています。「TANP」は、社内バイヤーがセレクトした高品質なギフト向け商品を取り扱っているほか、ラッピングやメッセージカード、バルーンや花束の同梱などの豊富なオプションを付けることができます。
タンプは、今回の資金調達により、「デジタルカタログギフト事業」と「3PL事業」の二つを中心とした新規事業を展開する方針です。「デジタルカタログギフト事業」は、タンプが発行したコードを受け取った人が、自分が好きな商品を選んで注文することができるサービスで、タンプが梱包から出荷までを執り行います。「3PL事業」は、他企業の委託を受け、タンプが物流を運営、管理する事業で、ギフト対応ならではの名入れ加工やラッピングなどの注文に応えられる点が魅力です。
3Dゲーム制作をAIで革新するAssetHub、1億円の資金調達を実施
事業内容: AssetHubの開発・提供 / ゲーム用のAIソリューション
調達金額: 1億円
引受先: Progression Fund、Techstars、 三井住友海上キャピタル
今後の展望: プロダクト開発、マーケティング投資、採用・組織体制の強化
AssetHubは、生成AIを活用し、ゲーム用アセット自動生成が可能なサービス「AssetHub」を提供する、米国に本社を置くスタートアップです。「AssetHub」は、コンセプトアートなどの2Dの画像や仕様書をインプットして、3Dの空間やオブジェクトを生成する3Dモデリングツールです。3D製作には手間と時間がかかりますが、それを数分まで高速化することが狙いです。また、AIとクリエイターの手作業を組み合わせた編集方法も提供しています。
現在は、国内外の複数のゲームスタジオとプロダクトの実証研究を行っています。AIを用いたコンテンツ制作というトレンドにおいて、新しいワークフローを構築・普及させていくことが目標です。
人の脳を模倣したAIで超低消費電力を実現するTwinSense、1億円の資金調達を実施
事業内容: ニューロ型センシングとプロセッシングの開発
調達金額: 1億円
引受先: 環境エネルギー投資
今後の展望: グローバルな求人募集
TwinSenceは、AI技術を専門とするスタートアップで、2023年12月に設立されました。ニューロモフィック・コンピューティングという、生物の脳の神経回路を模倣する技術に注力しています。
現在広く使われているAI技術の一つに大規模言語モデル(LLM)があり、ChatGPTやGeminiなどがその代表例です。これに対し、ニューロモフィック・コンピューティングはまだ普及段階にはありませんが、エネルギー効率の良さやリアルタイム処理能力に強みがあり、特にロボティクスやIoTなどの分野での活用が期待されています。TwinSenceは、イベント検知、AI、3Dグラフィック、コンピュータビジョンなどの技術を統合したプラットフォームを開発し、ニューロモフィック・コンピューティングの実用化に取り組んでいます。
まとめ
9月23日から9月27日の資金調達例をまとめました。
既存の事業を新たなシステムやプラットフォームでさらに効率化するサービスはポテンシャルが高く、ダイニーやタンプの例はそれをあらわしています。
AI関係事業も資金調達に成功しており、AIをどのように事業に活かすのか、その内容も多様化しています。先進的な取り組みとしてはTwinSenseがあり、世界に先駆けて新たなAIの形を目指しています。
「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。
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