9月が始まり、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。
この週は、メタバース関連事業で、先進的な取り組みをしている企業が資金調達に成功している例が見られました。
そこでこの記事では、9月2日から9月6日の間にリリースされた、メタバース関連事業の資金調達ニュースをまとめています。また、それぞれの事業内容、調達金額、今後の展望について解説いたします。
メタバースの収益化を支援するV、資金調達を実施。累計調達金額は2.4億円
事業内容: インターネットサービスの企画・開発・運営
調達金額: 非公開。累計調達金額は2.4億円
引受先: 日本ベンチャーキャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、スクウェア・エニックス・ホールディングス、ソニーグループ、伊藤忠商事
今後の展望: 出資元各社との事業連携、人材採用、技術的投資
Vは、メタバース関連事業を展開する企業で、他企業のメタバース参入支援や、バーチャルアイテムECなどのサービスを展開しています。収益化が課題になっているメタバース領域において、Vは収益を挙げられるビジネスモデルを目指しており、多くのプロジェクトで収益化を達成していることが強みです。
VはVRChat、ZEPETO、Roblox、Fortinteなど、メタバースにおける主要なプラットフォームにおけるワールド、アバター/衣装製作に実績があります。主な実績は、人気アニメ「きんいろモザイク」のワールド製作や、大丸松坂屋百貨店との協働によるワールド制作、衣装制作、イベント開催など、多数。Discordの運営についてもノウハウがあり、コミュニティの創発や運営も手がけます。
Vは多くの企業と協力関係を構築しており、メタバースプラットフォームとして人気が高い「VRChat」とパートナーシップ関係を築いています。また、今回の引受先であるスクウェア・エニックスやソニーグループ、伊藤忠商事との協働によって、さらにメタバースにおける取り組みを推進していく方針です。
デジタルファッションの可能性を追求するharmony、4,500万円の資金調達を実施
事業内容: デジタルファッション関連業務
調達金額: 4,500万円
引受先: DRG Fund、Link Capital、Incubate Fund
今後の展望: アイテムの企画、開発、販売/マーケットプレイスの開発運営
harmonyは、メタバース空間やAR上で身に着けるデータの衣装、「デジタルファッション」を専門とするスタートアップです。アパレルやクリエイターからの依頼を受け、複数のプラットフォームで利用できる衣装の3Dデータのモデリングを手がけています。今年8月には富士通がユーザー企業4000社に向けて運営している、「富士通ファミリ会」のメタバース構築を手がけています。
近年メタバースの利用は拡大しており、既に一定の固定ユーザーが定着している「VRChat」や、国内でも利用が増えている「Roblox」などが好調です。それらのプラットフォームでアバターに着させる衣装のことを「デジタルファッション」と呼び、新たな市場として注目を集めています。ARグラスといった機器の発展も、この市場の成長性を後押ししています。
harmonyはデジタルファッションの制作だけでなく、プラットフォームの創出も目指しています。デジタルファッションのためのマーケットプレイスを開発しているほか、デジタルファッションSNS「flah」を開発中です。「flah」は新しいカメラアプリとして開発されており、カメラをかざすだけでデジタルファッションを身に着けられる機能や、デジタルファッションを身に着けた状態での写真/動画の撮影ができる機能があり、またアイテムの購入もできる予定です。
Fortniteメタバースに特化したゲームスタジオCre8tFun、資金調達を実施。累計調達額は約1億円
事業内容: メタバース空間の企画、開発、及びマーケティング等
調達金額: 非公開。累計調達金額は1億円
引受先: サイバーエージェント・キャピタル、GENDA Capital
今後の展望: コンテンツ開発、マーケティング、人材採用
Cre8tFunは、米Epic Games社が提供するオンラインゲーム/メタバースプラットフォーム、「Fortnite」上での創作に特化したゲームスタジオです。「Fortnite」上での制作においては実績があり、今年6月時点で、総プレイ数は718万、世界ランキングで92位を記録しています。
「Fortnite」ははじめ、建築要素のあるバトルロワイヤル型のシューティングゲームとして多くのプレイヤーを集めましたが、現在はメタバースプラットフォームとして発展を遂げています。「クリエイティブモード」では、ユーザーが独自のゲームやメタバース空間を開発でき、プレイヤーが過ごした時間やエンゲージメント(参加度、再訪など)に基づいて、クリエイターに収益が分配されます。
Cre8tFunが開発しているゲームは、レースゲームや2Dアクション、ホラーゲームなど、多様です。代表作の、赤ちゃんの姿でゴールまで走り抜ける「BABY RUN!!」は、500万プレイを突破しています。また、自社マップ開発で培ったノウハウ等を活かし、メタバース空間の企画・開発からPRまでを支援する業務も行っています。
まとめ
9月2日から9月6日のメタバース関連事業の資金調達例をまとめました。
バズワードとしてメタバースという用語が流行してから暫く経過しましたが、主要なプラットフォームの「VRChat」、「Roblox」、「Fortnite」などは、堅調に成長を続けています。
その中で、デジタルファッションや、プラットフォーム上での創作など、これまではなかった新しい産業も生まれています。メタバースそのものだけでなく、メタバース内での創作にも大きな価値が生まれることが、今回の資金調達例から理解できます。
「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。
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