7月も中旬に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。
この記事では、7月15日から7月19日の間にリリースされた、資金調達ニュースをまとめています。また、それぞれの事業内容、調達金額、今後の展望について解説いたします。
プロフェッショナルのスキルをAI化するavatarin、37億円の資金調達を実施
事業内容: ロボット、人工知能、データ、コンピュータープログラムの研究・開発・販売・ライセンス・リース及び関連サービスの提供事業
調達金額: 37億円
引受先: オムロンベンチャーズ、三愛オブリ、ソフトバンク、芙蓉総合リース、みずほ銀行、三井住友信託銀行
今後の展望: 技術の研究・開発を促進、出資者との協働
avatarinは生成AIやロボティクス技術を有する、ANA発のテック系スタートアップです。アバターロボットを使い、人の意識や技能を遠隔地に伝送することをミッションに掲げており、avatarinはこれを「移動の民主化」と呼んでいます。軸としている事業は、コミュニケーション型アバターロボット「newme」の発展と、他ロボットやモビリティへの展開の二つです。
「newme」は、遠隔地を自由に動きまわり、自分の目で見てコミュニケーションがとれるアバターロボットで、接客・案内など、公的な場面で使用されることを想定しています。接客やホスピタリティを遠隔地から提供することで、顧客体験価値を維持しつつサービス業界における人手不足を解消するとしています。
空間・モノを精巧に3Dデジタル化するクモノスコーポレーション、5億円の資金調達を実施
事業内容: 3D計測、構造物点検・調査、工事測量、施工管理、機器・システム販売、システム開発
調達金額: 5億円
引受先: パソナグループ
今後の展望: 引受先との連携強化、データ利活用の拡大、普及活動、技術高度化
クモノスコーポレーションは、現実のモノを3D計測し、デジタルデータに変換する技術に長けた技術系企業です。3DLS技術による3D計測・3Dデータ利活用事業、3D機器導入事業など、3Dに関する事業を展開する傍ら、社会インフラの遠隔デジタル点検事業も行っています。
3D分野においては実績があり、3000件以上の計測実績と約300台の導入実績のほか、日本ものづくり大賞を受賞するなど、高い評価を得ています。人材派遣や委託・請負事業に関して専門性のあるパソナグループとの連携を深め、BPO事業等を強化していく方針です。
バイオエコノミーを推進するちとせグループ、10億円の資金調達を実施
事業内容: バイオテクノロジーを活用した事業を生み出すための、研究開発、事業開発、財務・人事・マーケ戦略の策定と実施支援
調達金額: 10億円
引受先: 三井住友銀行
今後の展望: 設備拡大、製品開発、IPOに備えた体制強化
ちとせグループは、統括会社をシンガポールの「CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.」とするグループ企業で、技術開発・事業開発を行う「株式会社ちとせ研究所」を中核としています。グループ全体として、バイオテクノロジーに強みがあり、それを活用しながら循環型経済の実現を目指す「バイオエコノミー」の実現を目指しています。
「ちとせ研究所」は微生物・培養細胞・微細藻類などの育種・培養技術を有しており、これを応用した産業への展開を行っています。特に、太陽光のみをエネルギー源とする藻は、サステイナブルな生産が可能となっており、化粧品、食品、紙類など、応用例は多様です。ちとせグループは藻類産業を企業群・行政と協力して構築する「MATSURIプロジェクト」を立ち上げ、その中心として活動しています。
昆虫由来のタンパク質・バイオ燃料を開発するスーパーワーム、1億円の資金調達を実施
事業内容: 昆虫由来のタンパク質・バイオ燃料などの製造販売
調達金額: 1億円
引受先: Partners Fund1号投資事業、ANOBAKA3号投資事業、イーストベンチャーズ4号投資事業、かごしまスタートアップ支援投資事業
今後の展望: 製品開発
スーパーワームは、「スーパーワーム」と名付けられた昆虫を養殖し加工することで、様々な製品を提供するバイオ系の研究・製作企業です。「スーパーワーム」の長所は、加工可能性の広さと生産効率の良さです。タンパク質粉末・バイオ燃料・有機肥料等に加工が可能で、サステナブルな食品とエネルギーを提供できます。
現在は、より効率的な養殖プロセスの構築や、企業や大学との共同研究を進めています。また、ゲノム編集技術に長けた人材を採用するなど、コスト競争力を高めていく方針です。
AIやXR技術で空間の課題を解決するワントゥーテン、資金調達を実施
事業内容: AI 技術を駆使したサービス開発、プロジェクションマッピング・XR を活用したプロジェクト
調達金額: 非公開
引受先: 丹青社
今後の展望: AI × 体験の領域を強化
ワントゥーテンは、XRやAIをはじめとした先端テクノロジーに強みを持つテック系企業です。特にプロジェクションマッピング・XRを活用した空間の演出には強みがあり、名古屋城でのライトアップイベントや、デジタルツイン空間でのメタバース「QURIOS」など、先進的なプロジェクトを手がけています。
今回の引受先である丹青社は、社会交流空間づくりの課題解決に強みがあり、店舗などの商業空間、博物館などの⽂化空間などの企画、設計、制作運営を手がけています。実績のある丹青社とテクノロジーに強みをもつワントゥーテンの協働により、シナジーを生んでいく方針です。
まとめ
7月15日から7月19日の資金調達例をまとめました。
AIやXRといった情報系の最先端技術への注目度は高く、アバターロボット開発のavatarin、3Dデジタル化のクモノス、空間体験などを手がけるワントゥーテンなど、各社革新的なサービスを打ち出しています。
バイオテクノロジー系の企業も資金調達に成功しています。特に、サステイナブルな生産を行う上でバイオテクノロジーを応用する例は多く、ポテンシャルは高いです。
「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。
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