スタートアップ資金調達リサーチ【Week : 7/8-7/12】今週はロボット関連のニュースをピックアップ!

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7月に入り、6月に引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しています。

今週は、特にロボット関連で革新的な事業が資金調達に成功していました。

そこでこの記事では、7月8日から7月12日の間にリリースされた、ロボット関連事業の資金調達ニュースをまとめています。また、それぞれの事業内容、調達金額、今後の展望について解説いたします。

About

宇宙環境利用・回収プラットフォームを開発するElevationSpace、14億円以上の資金調達を実施

事業内容: 宇宙環境利用・回収プラットフォーム事業、宇宙輸送事業、宇宙建築事業

調達金額: 14億円以上

引受先: Beyond Next Ventures、スパークス・アセット・マネジメント、ニッセイ・キャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、CSP2

今後の展望: プロダクト/サービスの開発体制強化、新規事業の加速

ElevationSpaceは、宇宙環境利用・回収プラットフォームである「ELS-R」を開発、サービスとして展開する宇宙ベンチャーです。東北大学にルーツを持つ企業であり、東北大学大学院生の小林稜平氏が、同大学院の桒原聡文准教授と協力し設立したという背景があります。

「ELS-R」は、無人の小型衛星を宇宙空間に射出し、内部でさまざまな宇宙実験や無重力空間での製造を試すことができるサービスです。高頻度で打ち上げが可能かつ、無人プラットフォームであるため、運用の幅が広いことが特徴です。一貫したサービスを提供しており、実験や実証が終わった後は荷物をパラシュートで地上に降ろし、その回収から引き渡しまでを手がけます。

Elevation Space公式サイト(https://elevation-space.com/els-r)より引用

このサービスの背景にあるのは、東北大学吉田・桒原研究室のノウハウです。この研究所は、「宇宙ロボット研究室」という肩書を有しており、15機以上の人工衛星開発・運用実績を保有しています。「ELS-R」は同研究所の超小型人工衛星システムを活用し、宇宙空間への再突入、回収を可能にしています。

マイクロサージャリーを支援するロボットを開発するF.MED、4.3億円の資金調達を実施

事業内容: マイクロサージャリー支援ロボットをはじめとした医療機器の開発

調達金額: 4.3億円

引受先: FFGベンチャービジネスパートナーズ、大分ベンチャーキャピタル、Diamond Medino Capital、スター精密、JMTCキャピタル合同会社、肥銀キャピタル、三菱UFJキャピタル

今後の展望: 製品の開発、承認取得に向けた試験の実施、組織の拡充

F.MEDは、医療ロボットを開発する企業であり、特にマイクロサージャリーを支援するロボットについては、独自のノウハウを保有しています。マイクロサージャリーとは、顕微鏡を使って、極めて微細な手術を行う技術を指します。この手法は血管や神経など、人体のごく細かい部分にも介入できる一方、技術的難易度の高さから、対応している医師が少ないという点が課題です。

F.MEDのマイクロサージャリー支援ロボットは、微細作業用マニピュレーターを搭載しています。医師の操作を縮小して実行することで、手振れなどを抑えつつ非常に細かい動作を行うことが可能です。マイクロサージャリーの難易度を下げることで、手術の成功率を上げ、医師の訓練にかかる時間を短縮する狙いがあります。

PRtimesプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000098074.html)より引用

このロボットの開発には、現CTOである小栗晋氏が九州大学先端医療オープンイノベーションセンターで行ってきた研究成果が活かされています。ロボットは現在開発中ですが、早期の医療機器承認取得を目指しています。また、将来は遠隔医療や術者の判断支援などの付加機能を開発する予定です。

自律型産業ロボットを製造するロボットバンク、資金調達を実施

事業内容: サービスロボットの開発、製造及び販売など

調達金額: 非公開

引受先: やらまいかファンド

今後の展望: 販売規模の拡大、チーム拡大、新商品の研究・開発に注力

ロボットバンクは、自律走行する産業ロボットを開発している企業です。開発している製品の幅は広く、搬送や配膳など、運搬を担うロボットを始め、清掃、消毒を行うロボット案内を行うロボットなどを提供しています。

自社及び共同での開発チームを保有しており、先端技術の導入において強みを持つとしています。また、要素技術をユニット化することで、技術を組み合わせてカスタマイズされた製品を創出することが可能です。AIシステムの受託開発・導入コンサルティングなどAI関連の事業も行っており、AIに関するノウハウも保有しています。

ロボットバンク公式サイト(https://www.robotbank.jp/dx/)より引用

ロボットバンクのルーツは、CEOの趙徳鵬氏が静岡大学大学院在学中に立ち上げた、「ものつくりプラットフォーム」という大学ベンチャーです。本社は東京にありますが、研究開発所は浜松にあり、静岡と深いかかわりがあります。

ドローンのソフトウェアを開発する Red Dot Drone Japan、資金調達を実施

事業内容: ドローン制御技術開発、スポーツ空撮事業、ソフトウェア開発事業

調達金額: 非公開

引受先: ネクシオン、One ip弁理士法人、リビングイメージ

今後の展望: 開発体制を強化するための人材採用

Red Dot Drone Japanは、ドローン制御技術AI技術に強みを持つソフトウェア開発会社です。開発しているソフトウェアは多岐に渡り、インターネット越しのドローン遠隔操縦や、物体検出や映像処理技術、また自動飛行技術も開発、提供しています。

ソフトウェア以外にもハードウェアを提供しており、ドローン向けの自動給電装置や係留装置を開発、提供しています。Webサービスでも、ドローン飛行と運用を支えるクラウド・モバイルサービス「Drone Web Servicves」を提供しており、事業展開は多角的です。

Red Dot Drone公式サイト(https://reddotdrone.com/ja/software)より引用

Red Dot Drone Japanは、2019年に設立された日本法人であり、それに先立って2017年にはシンガポールに法人オフィス、Red Dot Drone PTE. LTD.が設立されています。CEOの三浦望氏はソフトウェアエンジニアとして多様なバックグラウンドを持っており、大学院では情報工学を専攻、VJ用OEM製品がテクノロジーショーで賞を受賞した経験も持っています。

まとめ

7月8日から7月12日の資金調達例をまとめました。

ロボット関連の技術進化のスピードは速く、どの資金調達例でも目立っていたのは、最先端技術の応用です。ロボットバンクやRed Dot Drone Japanは、AIを活用したロボットの導入を加速させています。

F.MEDは、非常に繊細な動作を行うロボットを開発しており、技術の進歩がうかがえます。また、宇宙プラットフォームなど、未来のテクノロジーも現実味を帯びてきています。

「Plus Startup」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。

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